口腔外科
口腔外科では、主に歯やお口の中をはじめ口周りの外科処置を行います。治療内容は抜歯、顎関節症、歯牙移植、嚢胞性疾患、口腔粘膜疾患、お口のケガなど、多岐にわたります。
また、外科手術後に痛みの緩和と治癒促進に配慮し、レーザー治療を取り入れております。
親知らずが気になる、顎を開けたり閉じたりする時に問題がある、口の中にできものができた、膿が溜まっているなど、ご不安な症状がありましたら、どんな小さなお悩みでもお気軽にご相談ください。
口腔外科の主な治療
◆親知らずの抜歯
親知らずとは、上下左右ともに一番奥に生えてくる永久歯のことで、「第3大臼歯」とも呼ばれています。
歯ぐきに埋まっていたり半分だけ出ていたり、癖のある生え方をすることが多く、歯ぐきとの間に汚れがたまりやすく、歯ぐきの腫れや痛み、虫歯、歯周病、不正咬合などの原因になることが多い歯です。
親知らずを抜く・抜かないの判断としては、腫れや痛みなどのトラブルが起こった際に親知らずが歯として機能しているか、歯磨きがきちんと行えるかなどが判断基準になります。
親知らずの抜歯は、周囲の神経や太い血管の確認が必須となります。当院では、歯科用CTで親知らずを立体的に把握し、神経や血管の位置関係をきちんと確認しながら行っています。
適切な診断を行ったうえで、患者様に安全な医療を提供していくためにも、必要があれば総合病院にご紹介させていただきます。
◆顎関節症
顎関節症とは、顎の骨や関節を支える筋肉・靭帯などに問題が生じる病気です。日本人は一生の間に3人に1人は経験するというデータがあり、生活習慣病の一つとも言われています。
口を開けるとカクカクといった音がする、痛みで口を大きく開けにくい、食べ物が噛みにくいなどといった不快な症状がみられます。また、顎だけでなく、偏頭痛や肩こり、腕や指のしびれ、鼻や耳にも不快感が生じることもあります。悪化すると日常生活にさまざまな支障をきたすため、早期発見・早期治療が大切です。治療は消炎鎮痛薬、レーザー治療、スプリント療法(マウスピース)、ボトックスを使用した薬物療法による保存療法を行います。
◆歯牙移植(歯の移植)
歯牙移植とは、自分の歯を口腔内の別の場所に移植する手術のことを指します。虫歯などが原因で歯が抜けたところに、普段の噛み合わせに影響の少ない歯を抜いて移植する方法です。
入れ歯のような違和感がなく、ブリッジのように両隣の歯を削る必要がなく、人工歯根を使うインプラントとは違い自然な自分の歯を活かせるという特徴があります。
例えば、歯を失って入れ歯をしなければならない場合、歯の抜け方によっては入れ歯が安定せず、歯ぐきが痛くなったりよく噛めなかったりすることがあります。そうなると、残っている歯に負担がかかり、次々と歯を失ってしまう可能性があります。もし有効利用できる歯が残っていると、歯を失った箇所に移植することで安定してしっかりと噛めるようになる場合があります。
すべての歯牙移植が必ずしもうまくいくとは言えません。歯の条件が制限されるため、何らかの事情により、移植はしたけれど歯根膜が付着せずに脱落してしまうことや、数年経ってから問題が生じてくる場合もあります。
ただ、少しでも長い間、ご自身の移植した歯を利用して安定した嚙み合わせの回復ができるということは、試す価値のある有効な方法と言えます。
◆口腔内のできもの
月に1度はセルフチェックを行い、1週間以上治らない口内炎やしこりなど少しでも気になることがあればすぐにご相談ください。
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口内炎
口内炎と一口に言っても、その原因はウイルス性や自己免疫疾患、薬剤、粘膜を噛んで細菌が入ってできたものや入れ歯のとがった部分が当たる刺激によるもの、アフタ性口内炎などの原因が不明なものなど様々です。基本的に口内炎は自然治癒します。ただし、同じ箇所に口内炎ができたり、長く続いたりする場合は歯科医院を受診しましょう。
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粘液嚢胞
唇を噛んでしまったりすることで、舌や口腔粘膜の下にある小唾液腺が傷ついて水ぶくれのようなふくらみができる病気です。嚢胞壁の粘膜は破れやすく、破れた後は粘液が流出して平坦になるため自然治癒したように思われがちですが、再発することが多いのです。嚢胞が大きくなってしまったら、小唾液腺と一緒に切除する外科治療を行います。
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口腔内腫瘍
口腔内腫瘍は大きく良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられます。
良性腫瘍には、顎の骨に生じる腫瘍と口の中の軟組織に生じる腫瘍があります。硬組織である顎骨に生じる歯原性腫瘍(エナメル上皮腫、歯牙腫、エプーリスなど)や、軟組織に生じる非歯原性腫瘍(乳頭腫、線維腫、血管腫、脂肪腫、多形性腺腫など)があります。
良性腫瘍は命に関わることはほとんどないできものです。悪性腫瘍のように転移はしませんが、中には再発性の高い良性腫瘍もあり、徐々に大きくなっていきます。
線維腫、脂肪腫、乳頭腫などの軟組織の良性腫瘍は、メスやレーザーなどで切除します。
悪性腫瘍である口腔がんは舌がんや歯ぐきにできる歯肉がん、口底がん、頬粘膜がんが代表的です。悪性化の可能性のあるものに関しては、速やかに総合病院へ紹介させていただき、早期発見・早期治療につなげます。
◆舌小帯短縮症
舌の裏側に付着している舌小帯(ヒダ状の組織)が短いと、十分に舌を動かすことができず、発音や食事に影響を与えることがあります。そのため、早期発見と適切な対処が大切です。舌小帯短縮症の治療は舌小帯をレーザーで切除する手術を行います。
舌小帯切除手術の流れ
- 舌小帯の状態を確認し、手術の必要性を検査・診断します。健康状態の確認や麻酔についての説明があります。
- 手術は局所麻酔で、レーザーまたはメスを用いて舌小帯を切除します。レーザー治療は手術後に瘢痕(傷)が残ることが少ないので、傷の治りがとても良いです。このため、痛みや腫れはほとんどありません。
- 菱形になった創部の中央付近の広い部位を縫合します。症状によっては縫合は必ずしも必要ではありません。
- 感染予防のための抗菌薬や痛みを感じたときのための消炎鎮痛薬を処方します。手術後は軽い痛みや腫れがあることがありますが、数日で回復します。
- 約1週間後に術後の治り具合を確認します。縫合した場合には抜糸します。
◆口周りのケガ
顔や口元に強い力が加わって、歯の脱臼、歯の欠けや折れ、唇や舌の裂傷など、口周りをケガしてしまうことがあります。中でも多い外傷は歯の破折です。将来的な歯並びや嚙み合わせを考慮すると、重要なのは応急処置を適切に施すこととできるだけ早く歯科医院で治療することです。応急処置を正しく行えば、抜けてしまった歯を再植できることもあるのです。患者様ご自身で応急処置ができる場合もありますので、まずはご相談ください。
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