レーザー治療
日本で認可されている歯科用のレーザーは主に4種類あります。
南林歯科クリニックではより精度の高い最新の治療を患者様にご提供するため、CO2(炭酸ガス)レーザー、Nd:YAG(ナオジウムヤグ)レーザー、ダイオード(半導体)レーザーを導入しております。これらのレーザーは波長の長さが異なるため、それぞれの特長を活かし、治療内容によって使用するレーザーを使い分け、さまざまな治療に活用しています。
なお、すべての治療が保険適用ではなく、一部は自由診療になります。治療前には歯科医師の診断が必要ですので、まずはお気軽にご相談ください。
レーザー治療のメリット
- 患部の炎症を抑える
- 治療時の痛みを軽減する
- 出血を抑える
- 傷口の回復を促す
- 殺菌作用がある
- キーンという嫌な音や振動がしない
- 身体への負担が少なく安全性が高い
レーザー治療のデメリット
- 保険適用外になることが多い
- 1回の治療にかかる時間が長くなる場合がある
◆レーザーでできる治療と予防
1.虫歯予防(耐酸性の亢進作用)
ハードレーザーを歯の表面に照射すると、瞬時に融解(メルチィング)が生じます。この融解(メルチィング)層は強い耐酸性を持つことから、歯の表面にレーザーを照射すると虫歯予防効果が得られます。
歯の噛む面(咬合面)には、小窩裂溝という多数の溝があり、図のようにどうしても清掃できない所があります。そのために小窩裂溝は虫歯に成り易いのです。
そこで、小窩裂溝内にレーザーを照射することで、殺菌、消毒、耐酸性の亢進を行い、さらに、レーザーエッチング後フッ素含有のシーラント(小窩裂溝塡塞法)を施せば、虫歯予防の効果を高めます。
治療中
レーザー照射直後
シーラント治療後
2.虫歯治療
ハードレーザーの硬組織の蒸散作用を用いて、虫歯菌に犯された歯の軟化牙質を選択的に除去します。この時、小さな初期虫歯ならレーザーの麻酔効果によって、ほとんどの場合痛みはありません。さらに、レーザーによる耐酸性の亢進作用によって二次カリエス(虫歯の再発)が予防されます。
窩洞(削り取った穴)に歯と同色のレジンを詰める治療の場合、接着を良くするため酸処理(エッチング)を施しますが、レーザーエッチングを用いれば、酸を使う必要がなくなります。また、虫歯が歯肉に接近しているケースでは、治療の際、歯肉を一部切除する必要があります。ハードレーザーを用いれば、無麻酔下で出血させずに切除することができ、大変綺麗に詰めることができます。
歯肉縁下に虫歯が隠れています
レーザーで歯肉整形して虫歯を削ります
レジン充填後
3.歯周病治療
歯周治療は、ブラッシングによるプラークの徹底的な除去が最重要です。しかし、歯肉の炎症が著しいケースでは、腫れと痛みによってうまくブラッシングができないことがあります。このようなケースにハードレーザーを照射し、ハードレーザーの治療効果(殺菌、消毒作用・鎮痛、消炎作用・創傷の治癒促進作用)によって、まず歯肉の炎症を軽減させます。これによって、患者様へのブラッシング指導の導入が容易になります。
次の段階として、歯石の除去とルートプレーニングを行います。その際、ハードレーザーをポケット内に照射すると、歯石除去が容易になります。また、歯石の付着した根面のセメント質には、歯周病原性細菌由来の内毒素(エンドトキシン)が表層10μm程度浸透しており、それを残しておくことは再生治癒の妨げになります。通常はルートプレーニングによって機械的に除去しますが、その操作には熟練を要し困難な作業です。ハードレーザーの根面への照射により内毒素も蒸散することから根面処理の確実性が得られます。
また、根分岐部は解剖学的形態から機械的除去が不可能なケースもあり、ハードレーザー照射が有効です。
以上、ハードレーザーの歯周組織への照射の効果は、患者様の苦痛を和らげ、従来の治療法ではなかなか効果が得にくかったケースに有用性が認められることです。また、なんと言っても歯周組織細胞の賦活化が得られ、治療期間の短縮が可能になったことが最大のメリットです。
歯肉が腫れています
レーザー照射
治療1週間後
4.小帯切除
ハードレーザーを用いて小帯切除を行えば、レーザーの治療効果(創傷の治癒促進作用・組織の止血、熱凝固作用・鎮痛、消炎作用)によって、術中は殆ど出血せず、術後の痛みや腫れも少なく、治りも早く良好な結果が得られます。
術前
レーザーで切開
治療10日後
5.口内炎
誰もが経験する口内炎は大変痛く不快な症状が約7日間以上持続します。そのような口内炎にハードレーザーを照射すると、2~3日で自覚症状はなくなります。患者様によっては1日で痛みがおさまったケースもあります。
6.知覚過敏症
知覚過敏症とは、虫歯でもないのに冷たいものや酸っぱいものを食べた時、歯ブラシの先が当たった時などにキーンといった痛みを感じる症状のことを言います。
レーザーには組織を再生する働きがあります。レーザーを知覚過敏が起こるところに照射すると、歯の表面に薄い膜ができて孔をふさぎ歯の神経を保護するため、知覚過敏の自覚症状を少しずつ軽減することができます。
7.根管治療
当院のNd:YAGレーザーは、石英ファイバーによりレーザー光が伝送されるシステムを採用しています。この石英ファイバーは200~400μmと細いことから、直接根管内に挿入したり瘻孔から挿入して直接根尖病巣にレーザー光を照射することが可能です。
レーザーの殺菌・消毒作用や蒸散・熱凝固作用を用い、根管側枝や根尖分岐部に残存する歯髄組織や細菌を蒸散させ、根管充填時の乾燥も同時に行います。
根尖部へのレーザー照射あるいは瘻孔からのアプローチによって、難治性の根尖性歯周炎の咬合痛や鈍痛が早期に消失します。
8.歯の漂白
無髄歯(神経を取った歯)は時間の経過とともに暗褐色に変色することはよくあります。以前から無髄歯の漂白は行われており、比較的良好な結果が得られていました。しかし、神経が残っている歯の薬物による変色や加齢による変色には、あまり良好な結果が得られませんでした。新しい薬剤の開発とハードレーザーによるレーザーブリーチングの利用によって、神経を取っていない歯への漂白が可能になりました。
9.ガムピーリング=歯ぐきの黒ずみ(メラニン色素)の除去
「ガムピーリング」とは歯ぐきのメラニン色素除去のことをいいます。歯ぐきを健康的なピンク色にする審美治療です。健康な歯肉はピンク色をしています。しかし、人によっては歯肉の一部が黒くなっている場合があります。これはメラノサイトと言う細胞が黒い顆粒(メラノゾーム)を産生し、隣接する細胞に注入するために起こります。Nd:YAGレーザーは色素依存性があり、黒色部に特にレーザーエネルギーが吸収されやすい性質があります。そこで、黒いメラノゾームに選択的にレーザーエネルギーが吸収され蒸散されるために、黒い色素が除去されます。
術前
レーザー照射
術後2週間
10.顎関節症
顎関節症とは、顎の骨や関節を支える筋肉・靭帯などに問題が生じる病気です。日本人は一生の間に3人に1人は経験するというデータがあり、生活習慣病の一つとも言われています。口を開けるとカクカクといった音がする、痛みで口が大きく開けにくい、食べ物が噛みにくいなどといった不快な症状がみられます。
レーザーを顎関節に照射します。やや温かくなり、血流を改善し、顎関節の痛みや開口障害を緩和します。
レーザーとは
レーザー(Laser)とはLight Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字をとってできた合成語で、直訳すると「放射の誘導放出による光の増幅」となります。
歴史的には1905年A.アインシュタインの光量子説でその存在が予言され、その後1960年にS.メイマンにより、初めてルビーレーザーが発明されました。レーザー光は人工的に作り出された光で、自然光とは異なる特性をもっています。
レーザー光の特性は波長と位相が規則正しくそろっていることです。それによって単色性(純粋な光)、指向性(拡散せず直進する光)、収束性(一点に集光)等の優れた性質がうまれます。以来、産業界は勿論、医科・歯科の分野でも応用が試みられています。
(1)レーザー装置
◆Nd:YAG(ナオジウムヤグ)レーザー
こちらの機械は当院で使用しているNd:YAG(ネオジウムヤグ)レーザーです。
このレーザーは、発振源にYttrium・Aluminum・Garnet(A3Al3O12)結晶を母材として、Nd3+イオンを加えたものを使用しています。これから発生する光は波長1.06μmの近赤外線ハードレーザーです。レーザー光は石英ファイバーにより伝送されます。
◆ダイオードレーザー(半導体レーザー)
ダイオードレーザーは電気的な刺激が少ないことが特徴です。主に、疼痛の緩和や創傷の治癒促進に使用します。治療中に痛みをほとんど感じることなく、必要最小限の部分を安全に治療することができるのです。
痛みが少ないだけでなく、外科手術でレーザーを使用すると、必要最小限の切開ですみ、痛みや腫れがほとんど出ません。また、熱凝固層や熱変性層が比較的分厚くできるため、高い止血効果もあり、外科処置を安全に行うことが可能となりました。
◆CO2(炭酸ガス)レーザー
炭酸ガスレーザーは水分を含んでいる組織に当てると、すぐに吸収されて、一瞬で熱エネルギーに変換できます。圧力をかけることなく、深部に熱が達しないので、他の部分に熱損傷を起こすことがありません。その結果、レーザーの影響が深部に達することがなく、出血を伴わずに除去・切開できるというのが炭酸ガスレーザーの特徴です。痛みの緩和、止血作用、治癒促進、殺菌・消毒など炭酸ガスレーザーには様々なメリットがあります。
(2)レーザー治療
レーザーの治療効果としては以下のものがあります。
- 耐酸性の亢進作用
- 軟組織の切開、切除作用
- 創傷の治癒促進作用
- 殺菌、消毒作用
- 組織の止血、熱凝固作用
- 硬組織の蒸散作用
- 鎮痛、消炎作用
- 歯の漂白促進作用
- メラニン色素の除去作用
このようなレーザーの多様な効果を利用して、様々な治療で活用しています。
診察予約・お問い合わせはお気軽にお電話ください。
【診療時間】
月火水金 9:00~13:00 15:30~19:00
木土 9:00~13:30
■ 休診日:日曜・祝日
■ 待ち時間緩和のため、予約優先制となっております。