知覚過敏

冷たい物を口に含んだ時、『ズキッと鋭い痛み』が出たことはありませんか?
痛みがその時だけですぐ治まり、あとを引かなければ知覚過敏かもしれません。

知覚過敏(象牙質知覚過敏症)について

虫歯のような大きな穴が歯に開いていないのに、冷痛(冷たいもので痛い)・擦過痛(歯ブラシで痛い)が、一過性に出る場合、正式には象牙質知覚過敏症といいます。
象牙質知覚過敏症とは、何らかの原因で本来エナメル質やセメント質で覆われている部分の象牙質が露出しているために起こります。
象牙質に物理的刺激や化学的刺激が加えられると歯の歯髄神経が興奮してしみる様な痛みとして感じます。

歯頸部は歯肉の退縮によって歯根部のセメント質が磨耗しやすいため知覚過敏が出やすい。 象牙質表面に象牙細管が開口している。

現在、象牙質知覚過敏症のメカニズムとして最も有力な学説は、象牙細管内液の移動に注目した『動水力学説』があります。

動水力学説とは、様々な要因でエナメル質やセメント質が削除され、象牙質が口腔内に露出し、その表面に象牙細管が開口したところに物理的刺激や化学的刺激が加わると、象牙細管内液が移動して、歯髄側の象牙境界付近に分布する神経を刺激して痛みを感じさせるという説です。

知覚過敏の原因

知覚過敏の原因として色々有りますが、それぞれが複合している場合が多いです。

  1. 間違ったブラッシング方法(磨耗・楔状欠損)
  2. ブラッシングのしすぎ
  3. 歯周病などによる歯グキの退縮(歯根露出)
  4. ストレス等による歯ぎしり(咬耗・アブフラクション・マイクロクラック)
  5. 偏った噛み合わせ
  6. 歯垢によるムシ歯(白斑・初期虫歯)
  7. 酸蝕歯(詳しくはこちらをご覧下さい

等が主な原因です。

知覚過敏の治療法

知覚過敏の一般的な治療法は、ファーストステップとしての非侵襲性治療と、セカンドステップとしての侵襲性治療に分けられます。

ファーストステップ (非侵せい治療) は、食生活指導やブラッシング方法のチェックなど、問診等で捉えた状況の改善を行い、同時に、硝酸カリウム含有歯磨剤の使用を推奨します。
これらの治療で改善しない場合は、歯科治療として知覚過敏用薬剤の局所塗布を行います。
歯ぎしりやかみ合わせに問題があることによって歯が削れたり、アブフラクションが起こったり、ひび割れ(マイクロクラック)が入ったりすることによって知覚過敏になっている場合は、原因となった歯ぎしりや噛み合わせへの対応が必要です。
歯ぎしりが原因と思われる場合には「マウスピース」(ナイトガードと呼ばれることもあります)を装着したり、噛み合わせが原因と思われる場合には歯を少し削ってかみ合わせを調整(咬合調整と言います)したりします。

セカンドステップ (侵襲性治療) には、まず歯を削ることを前提としたレジン充填があげられます。レーザー照射も考えられます。
歯肉退縮が原因の場合は、歯肉弁側方移動術や歯冠側移動術、結合組織移植術などの歯周外科処置を行い、露出した歯根面を軟組織でカバーし、外部からの刺激を遮断する方法もあります。

象牙細管からの刺激によって知覚過敏が生じている。 象牙細管を薬剤で封鎖することで刺激を遮断する。

歯肉退縮

歯周外科治療

楔状欠損

レジン修復

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